御社の営業は雨の中を走る準備ができていますか?

2021年01月18日
御社の営業は雨の中を走る準備ができていますか?

新型コロナウイルスが発生する以前から、多くの製薬企業で営業チームは少し暗い雰囲気にありました。私が営業所を訪ねると、なんとなく不安で曖昧な「もやもや感」が、あらゆる層のモチベーションやコミットメント、エンゲージメントに対して、確実に影響を与えていると感じていました。

その理由はたくさんあります:

・研究開発と比べて営業に過剰な投資がされている製薬会社への継続的な批判
・厚生労働省による積極的な薬価改定とコスト管理
・施設と地域におけるフォーミュラリー採用の増加
・病院におけるMR訪問制限の拡大
・2019年から始まったプロモーションに関する厳しいガイドライン

こういった不満に加えて、現在のパンデミックを巡る不確実性が「通常どおりのビジネス」の見通しを更に暗くしています。私の天気予報では、この夏はMRにとって冷たい雨が続き、惨めで、最低でも8月のお盆頃まで、訪問は厳しく制限されるでしょう。さらに、医師がこの新しい環境に順応すると、かつて慣れ親しんだ古き良きモデルに製薬会社が戻ることはますます困難になります。

日本の製薬業界の新しい世界へようこそ!

この新しい環境で自信をもって成功するために重要な課題は、既存のチームをどのようにリセットできるかです。私の答えは「VR」です。

あのVRではありません

VRと聞くと、拡張現実「バーチャルリアリティ」を想像する方が多いでしょう。しかし、その「VR」をではありません。日本の営業モデルを再定義するための概念がVRです。

「Medical Representative: MR」を日本語で表現すると「医薬情報担当者」ですが、この肩書・職務定義は明らかに時代遅れです。新しく命名することをお勧めします。「Value Representative: VR」すなわち「価値提供者」です。VRの責務は、何よりもまず医師、患者、その他の医療関係者に付加価値を与えることにエネルギーを集中することです。VRが努力し、新しい価値提供をすることによってより良い治療がなされ、より適切に医薬品が使用され、結果的にVRを雇用している企業の収益が増え、それがさらに革新的な治療を開発するための資金に回ります。

この流れは今までも業界の理想として語られてきました。しかし、どうすれば実現できるのでしょうか。

ディテールは勘弁してよ

まず、「ディテール」という言葉を忘れましょう。元の英語の意味は「詳細」なので「製品情報を細かく伝達するための面談」といったイメージが強いです。確かに製品の特性は重要です。もちろん、臨床的エビデンスも重要です。しかしMRが、医師へ「ディテール」を実施するというマインドセットでいれば、その訪問は効果的ではありません。あえて言うなら、この行為は単に医師の時間を浪費するだけで、結局は、有害無益になる可能性が高いです。

この状況を作り上げたのはMRだけのせいではありません。このような2000年代初頭のブロックバスター時代に通用したディテール活動を求めるのであれば、当時と同じようなKPI、同じようなターゲティング手法、同じようなSOV重視型ツールを引き続き使用する必要があります。すなわち、ターゲットDRの訪問頻度、カバレッジ率、月別の新患数……などなど、これが現状です!

製品が変わりました。提供すべき価値が変わりました。医師の期待も世の中も変わりました。上記のアプローチは確かに、当時は十分に機能していました。現在でも、まだある程度機能しています(少なくとも2020年2月まで)。しかし、これからも同じように機能するとは思えません。

医師はその状況を望んでいません。MRもやりたくないでしょう。我々業界として進めるべきではありません。特に新型コロナウイルス発生後、製品情報を「ディテール」するためにMRを臨床現場に送り込むことは患者を第一に考えることと言えるのでしょうか。

VRチームをどのように形成すれば良いのでしょうか?

日本のMRは非常に勤勉で専門性が高く、臨床的エビデンス、ガイドライン、およびその他の学術的事項について精通しており、世界のトップ水準だと思います。しかし、最近までの“晴れ”ていて幸せなSOV重視の環境では、医師のニーズを聴き取り、適切な対応に集中する必要性はあまりありませんでした。

したがって、これからの出発点として大事になるのは、MRがVRとして質問をすることです。ただの質問ではなく、質の高い質問、素晴らしい質問をすることです。医師とその患者に貢献したいという深い欲求を反映する、目を引く、刺激的で洞察に満ちた質問をすることです。会話を前進させ、モチベーションを刺激し、最終的に行動変容を可能にする質問です。

そのような質問の能力をVRはどのように習得することができるでしょうか? 決まり文句で恐縮ですが、まずは「売る」のをやめることです。VRは、処方数ではなく、望ましい行動変容と臨床的なアウトカムに集中する必要があります(処方枚数は後からついてきます)。この考え方は、訪問数やメッセージ配信に関する活動ベースのKPIを本社から徹底的に追いかけられているうちは、継続して行うことが非常に困難です(まだそのような状況ではありませんか?)。ありきたりですが、あなたが製薬業界を選んだ理由、自分にとって何が重要か、そして、特にこの新型コロナウイルスの影響がある状況で、真の誠実さをもって何をどのように提供し、医師に貢献すれば良いのかを振り返ってみましょう。

スキルの面で、VRは「会話」(決して「ディテール」ではありません)に関して自分の行動を考える必要があります。企業は、医師を引き込み、状況を十分に理解し、関連性のある緊急のニーズを特定し、提供できる製品やソリューションに結びつける正しいステップへ導く、強固なフレームワークをVRに提供しなければなりません。このようなプロセスを中心に構築、コーチングされた営業文化・社風は、VRが行うすべての活動でより良い結果が得られるようになります。対面であろうとバーチャルであろうと、外にどんなに嵐が吹いていようとも関係ありません。

御社の営業は質問をしていますか? もちろん、ほぼ全員がある程度はしているでしょう。しかし、それは良い質問ですか? 鋭い質問ですか? 卓越して挑発的な「確かに。今までそう考えたことはなかったけど、考えてみる必要がありそうだ」と思わせるような質問ですか?

そうでなければ、まだ真のVRチームではありません。これから雨が続いたらうまくいかないでしょう。

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