オムニチャネル時代のターゲティング
適切な顧客への適切なチャネルによるアプローチ

2023年10月06日
オムニチャネル時代のターゲティング <br>適切な顧客への適切なチャネルによるアプローチ

デジタル技術の発達による新しいコミュニケーションでは顧客ニーズの多様化、情報の細分化が進み、製薬業界でも対応が求められています。そこで注目されるのがオムニチャネルへの取り組みです。医師一人ひとりに対し、複数のチャネルをどう使い分け、情報を提供するのか。重要となるのは、顧客の精緻なセグメンテーションとターゲティングです。

タッチポイントの変化がコミュニケーション戦術に影響

企業と顧客の接点となるチャネルをそれぞれ連携させ、顧客ごとに製品やサービスの情報をコントロールするコミュニケーション戦術であるオムニチャネル。過去にはMRによる訪問のみだった製薬企業のマーケティング活動は、複数のチャネル(顧客へのコミュニケーション接点)をもつマルチチャネル、そして顧客中心のコミュニケーションやエンゲージメントをつくるオムニチャネルへと移行してきています。

オムニチャネルは、戦略から戦術的なアクションプランまでの落とし込みを行うSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)のあり方にも影響を及ぼしています。これまではMRが訪問する医師や施設を特定することをターゲティングと呼び、多くの手間と外部データの購入費用、MRのヒアリング情報に依存していました。一方でMRとの面談を不要とする医師は増加傾向にあります。オムニチャネルを考慮したターゲティングはデータを駆使した個別化により、複数チャネルを連携させて情報提供を行うことを目的とします。どの情報をどのチャネルで顧客に届けるのか、適切なチャネル選定はマーケティング担当者に求められるスキルの一つになっています。

さらに医薬品がプライマリ領域から希少疾患などのスペシャリティ領域にシフトしているなかで、顧客である医師のニーズをベースとしたセグメンテーションの重要度が増しています。従来のSFE(Sales Force Effectiveness)起点ではなく、顧客視点を理解したセグメンテーションができなければ、製品メッセージも曖昧なものとなってしまいます。

顧客インサイトをベースとしたセグメンテーション

セグメンテーションとは長期的に競争優位に立つために、戦略的に投資ができるよう、共通の特性をもつグループに市場を細分化することです。

製薬企業のセグメンテーションにはいくつかの考え方があります。施設、医師の専門性といった属性ベース、地域特性や特定の患者層・処方方針といった特徴や医師の考え方ベース、さらにニーズやインサイトによるセグメンテーションもあります。これらを市場サイズと組み合わせて、どうセグメンテーションするかは戦略担当者の手腕が問われるところです。

顧客ニーズの多様化に対応すべく、ニーズやインサイトをベースにセグメンテーションをする場合、製品メッセージが受け入れられやすく、競争優位性にも優れています。一方で、適切な調査や各顧客の変化を常に把握することが必要となります。ターゲットとなる患者と医師によって課題やニーズは変わってくるため、ペイシェント・ジャーニー、カスタマー・ジャーニーといった顧客のインサイト分析が重要となります。

オムニチャネルによるコミュニケーションを実施するためには、顧客である医師一人ひとりの専門性や興味・関心の度合い、疾患に対する理解度に合わせなければなりません。製品データや臨床試験を説明する際も、医師に合わせて伝え方を変えなければ、必要とする患者に自社の薬剤を届けることができなくなってしまいます。

製薬企業にとってMRはもっとも重要でインパクトの大きい顧客とのコミュニケーション接点であり、長い間の慣習としてマーケティングと営業が一体となり、MRの訪問を前提としたセグメンテーションとターゲティングを行ってきました。今後はMRを通じた戦略・戦術の重要性に加えて、MRがカバーできない顧客にいかに適切なセグメンテーションおよびターゲティングを行い、オムニチャネルによるコミュニケーションができるかどうかも不可欠なポイントです。

スリーロックでは、2023年11月に「製薬向け 戦略立案・実行ブートキャンプ」を開催します。2部構成となっており、「Part 1 製薬向け戦略マーケティング」は戦略立案の基礎を習得します。「Part 2 顧客インサイトと行動変容」では、戦略の基礎となるSTPやオムニチャネルの活用について詳しく学ぶことができます。

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